東京高等裁判所 昭和35年(秩ほ)3号 決定
本件抗告の理由は別紙抗告状(写)に記載されたとおりである。右理由は第一として「勾留理由開示期日における実状」を述べた後「第二、抗告人の行為の適法性」として「追つて補充する」と記載してあるのみで、その内容はこれを知ることができない。そして右「第一」の記載によるも、抗告人が岡部武にする勾留理由開示事件公判期日の法廷において、裁判所が抗告人を主任弁護人に指定したことに関し意見を述べようとした事情、ひいて裁判所が右抗告人の発言を禁止し更に抗告人に退廷を命じた措置が不当であると云う事情を述べているに過ぎないのであつて、原裁判所のなした本件決定が違法であると云う事由については何らこれを窺うことができないのである。しかして法廷等の秩序維持に関する法律第五条によれば、同法により裁判所のなした制裁を科する裁判に対しては、その裁判が法令に違反することを理由とする場合に限り抗告をなしうるのであつて、裁判所の措置の当否或は制裁の内容の相当なりや否やについてはこれを抗告の理由とすることができないのであるから、本件抗告は抗告適法の理由を備えていないものであつて、その手続が規定に違反したものといわなければならない。
(坂井 山本長 荒川)